養子縁組における親子関係

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■普通養子縁組の親子関係について
「養子縁組を結んだ親子関係ってどうなるのか、詳しく教えてください。」
「はい、まずは普通養子縁組についての親子関係から説明します。
いつから親子関係が発生するかですけど、養子縁組届が届出が受理されたときです。
逆を言えば養子縁組届が受理されないと、親子関係は発生しません。」
「なるほど。」
「次に、具体的な親子関係の中身ですけど、
まず何より相続の関係が挙げられます。
すなわち…
・養親が亡くなった場合、養子への相続が発生する。
・養子が養親より先に亡くなり、養子に子供がいなかった場合、養親への法定相続分(法律で定められた相続割合)が発生する。
ということです。」
「あ、養子の方が養親の方より先に亡くなった場合は、
養子の遺産について、ある程度養親の方が相続する権利があるんですね。」
「はい、そうなります。もちろん養子の方に子供がいた場合は、養親の方の法定相続分は無くなります。」

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「さて、普通養子縁組における親子関係の具体的な中身としては
『扶養』が挙げられます」
「扶養?どういうことですか?」
「民法の条文に下記のようなものがあります。」
民法817条 (扶養義務者)
直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
「つまり、経済的にとか、身体的に養親もしくは養子が困窮した場合は、お互いに助け合わなければならないということです。」
「なるほど。でも、扶養の義務といっての、どの程度のレベルでの扶養となるのですか?」
「そうですね。養子縁組による親子関係の扶養の場合、養子の方が未成年ではなかったら、
養親・養子ともに、自分の生活水準を落とさない程度で、互いに扶養するレベルとなります。
具体的には、自分の家を売ってまで、養親・養子を扶養するまでは要求されていないということです。
余裕がある分だけ扶養するということです。」
「それで扶養が足りなかったときはどうなるんですか?」
「その時は、生活保護等の公的扶助の出番となるわけです。」
「なるほど。」
「ちなみに養子の方が未成年のとき・・・、大体が養親が親権者となっているときだと思いますけど、
この場合の親子関係については、養親は自分と同じ水準で養子の生活を保持しなければいけません。
わかりやすくいうと、養親だけステーキで、養子だけ納豆。ということは許されないということです。
養親がステーキだったら養子もステーキ。
養親が納豆だったら養子も納豆。
ということです。」

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■特別養子縁組の親子関係について
「普通養子縁組の親子関係についてはわかりました。
では特別養子縁組の親子関係についてはどうなりますか?」
「基本的に特別養子縁組の親子関係の中身については、普通養子縁組のものと同じです。
相続についても、扶養についても。
(※ちなみに特別養子縁組をすると、実親とは完全に親子関係が切れる)
しいて違いを挙げるとすると、戸籍の記載のされ方です。」
「戸籍の記載のされ方?」
「普通養子縁組の場合は、養親・養子ともに身分事項欄に養子縁組のことが書かれるし、養父○○、養母○○
という続柄になります。
これに対し、特別養子縁組では、身分事項欄では一見しては養子縁組したことがわからない工夫がされていますし、
父○○ 母○○という続柄になります。
ちなみに、特別養子縁組があったかどうかを戸籍上で知るためには、【817条の2】という記載を見つけることができれば
それが特別養子縁組のことです。」
「なるほど。特別養子縁組の場合でも、親子関係の中身については普通養子縁組のそれと同じになるけど、
戸籍の上での親子関係では、特別養子縁組とはわからないように工夫がされているということですね。」

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