養子縁組によって名字はどうなるか

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■養子縁組をすると名字がどうなるのか
「養子縁組と名字の関係を教えてください。」
「養子は養親の名字を名乗ることとなります。」
「はい、わかりました。…ってザックリし過ぎです。
もう少し詳しく教えてください。」
「えー、養子縁組による名字についての規定は、民法に条文があります。
民法 第810条(養子の氏) 養子は、養親の氏を称する。
ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、この限りでない。
という具合です。」
「なるほどなるほど」
「そして、この規定をもとにして、手続き法である戸籍法の中では
・養親の戸籍に養子が入ってくる場合は、その養子が入る戸籍の筆頭者と同じ名字を、養子は名乗ることになる。
・養子が既婚者であり、すでに養子を筆頭者とする夫婦の戸籍が出来上がっていた場合、
養親の戸籍には養子は入らないが、養親の名字と同じ名字とする、新しい戸籍を作ることとなる。
という規定がなされているわけです。」
「うっ…。養子縁組によって養親の戸籍に養子が入ってくる場合は理解できましたが、
養子が既婚者である場合って、ちょっとわかりづらいです。」
「そうですね。たとえ話をしましょう。
例えば、田中一郎さんには奥さんがいます。
田中一郎さんは戸籍の筆頭者です。
この田中一郎さんが、鈴木卓司さんと養親縁組をしたとします。
すると、田中一郎を筆頭者とする戸籍は除籍され、鈴木一郎を筆頭者とする新しい戸籍が作られるわけです。」
「なるほど。ん?でもその一郎さんの奥さんの名字はどうなるのですか?」
「はい、奥さんも、当然に鈴木一郎の新戸籍に入り、奥さんの名字も鈴木になります。」
「なるほどなるほど。そういう仕組みなんですね。」

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「さて、ところで先ほど説明した民法810条の但し書き
「ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、この限りでない。」
という部分を説明したいと思います。
「はい。」
「例えば、独身女性である佐藤ゆり子さんが結婚し、大田原ゆり子になったとします。
つまり結婚によって名字が変わったわけです。」
「日本ではおおむねそんな結婚ですよね。」
「そうですね。そしてこの場合で、ゆり子さんが鈴木卓司さんと養子縁組をしたとします。
しかしこの場合、ゆり子さんの名字は大田原から変更はありません。
これが民法810条の但し書きの部分の意味となります。」
「あ、なるほど。もし養子縁組によってゆり子さんの名字が変わったら、
夫と妻で名字が違うことになってしまいますもんね。」
「はい、そういうことです。
さて、ところで結構多い質問に、「養子縁組をしても名字を変わらない方法ってないですか?」というものがあります。
しかし、残念ながらそれはできません。
やはり先ほどの民法810条に規定されていることから、養子縁組をした場合、養子は養親の名字を名乗らなければなりません。」

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