認知した父親と子供との養子縁組【戸籍の手続き・制度】

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■認知した父親と、認知された子供の普通養子縁組について
「任意認知、もしくは強制認知を受けた子供と、その父親との養子縁組について教えてください。
というかできるんですか?」
「はい。認知を受けた子供と認知をした父親は普通養子縁組できます。」

第798条(未成年者を養子とする縁組)
未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
ただし、自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は、この限りでない。
「ん〜、ちょっと変な話ではないですか?
認知によって自分の子…、
つまり自分の直系の卑属であることとなったわけですよね?
その自分の子を養子にするというのは・・・」
「確かに一見変です。
しかし、こんなケースはどうでしょうか?
例えば、父親は既婚者であったが、その父親には婚姻の外の子供。
婚外子がいた。
その子は婚姻している夫婦の間の子ではないため、
非嫡出子となるわけです。
これが父親と子供が養子縁組をすることによって、
その子は嫡出子の身分を取得するわけです。」

第809条(嫡出子の身分の取得)
 養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。


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「ああ、なるほど。養子縁組をしないと、非嫡出子のままだけど、
養子縁組をすることによって、嫡出子の身分を得られるというメリットがあるわけですね?」
「ただし、養子は養親の名字を名乗ることとなります。
(その養子が自身の結婚のときに、その結婚相手の名字を名乗らない限り)
なので、認知した子とその父親の名字が違った場合、その子は養子縁組によって
名字が変わるんだということも理解しておく必要があります。」
「なるほど。他に非嫡出子のままであるのと、
養子になることの違いはなんですか?」
「大きな違いは、先ほどの名字以外では、親権です。
非嫡出子の場合、通常は父親に親権はありません。
通常はその子の母親にあることになります。
でも、養子縁組によって養子にした場合、養親が親権者となります。
ここが大きな違いです。」
「なるほど。」
「ところで、平成25年12月より前の非嫡出子については
法定相続分が嫡出子の2分の1でした。
養子縁組は、非嫡出子の法定相続分を嫡出子のそれと同じとするための対策として
行われるケースもあったと聞いています。」
「なるほど、そういう理由から養子縁組をしていたケースもあるんですね。」
「しかし、「嫡出子と非嫡出子で法定相続分がちがうのはおかしい!」という判決が出て、
その後民法が改正されました。
この改正により、嫡出子と非嫡出子の法定相続分は等しくなり、
法定相続分という一点においては、養子縁組をしてもしなくても同じとなりました。」
「なるほど、そんな経緯があったんですね。」
「養子縁組等の手続きについてはこのサイトの他のページをご覧ください。」


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