兄弟姉妹間の養子縁組【戸籍や相続】

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■兄弟姉妹間の普通養子縁組の戸籍
「兄弟姉妹の間で養子縁組はできるんですか?」
「はいできます。
養子縁組の条件は
・年長ではないこと。
・直系の尊属ではないこと(父親、母親、祖父、祖母等)
です。
ですので兄弟姉妹間で養子縁組ができるわけです。」
「なるほど。つまり、例えば兄を養親とし、妹を養子とすることができるわけですね。
逆に、弟を養親とし、兄を養子とすることはできないわけですね。」
「そうなります。」
「では、戸籍はどうなりますか?」
「はい、兄弟姉妹がそれぞれ独身だった場合は、
養子は養親の戸籍に入ることになります。
例えば、兄を養親とし、妹を養子とする場合、兄を筆頭者とした戸籍に、
妹が養子として入ってくることとなります。」

民法810条 3項  養子は、養親の戸籍に入る。

「なるほど。では養子縁組をした場合、兄弟姉妹という関係性はどうなりますか?
養親子という関係になるわけですから、兄弟姉妹の関係は消滅するんですか?」
「いえ、孫との養子縁組の場合と同じく、
養親・養子という関係と並行して、
兄弟姉妹という関係も存続することとなります。」


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「養子縁組を結んだ兄弟姉妹は、養親子であると同時に、
兄弟姉妹である。
ということはわかりました。
しかし、そうなると相続の関係は…、どうなりますか?」
「そうですね。
具体的ケースを想定して話を進めましょう。
ともに独身の兄と妹がいたとして、兄が養親・妹が養子となった養子縁組が結ばれたとします。
そして、その父親が亡くなり、遺産の相続が始まったとしましょう。

この場合は兄と妹が養親であることは関係ありません。
亡き父親の遺産については、それぞれの法定相続分が認められます。」

「なるほど。」
「では次に、その兄と妹の両親はすでに亡くなっており、
妹には夫がおり、その間には子供がいないまま、妹が亡くなったとします。
この場合の妹の遺産の相続についての考え方です。」
「えーと、子供や両親がいない場合の兄弟姉妹の法定相続分は4分の1でしたよね。
えーと、でも兄は妹の養親でもあるわけだから、えーと、養父としての法定相続分は3分の1となるわけだから…
ん?その4分の1と3分の1を足す?あれ?」
「いえ、そうではありません。
兄弟姉妹の法定相続分というのは、親がいない場合に発生するものです。
ですので、兄は亡くなった養子である妹の親なので、
法定相続分は3分の1となります。」

※もちろんこの妹に子供がいたら、兄は兄としても養親としても
法定相続分は発生しません。


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「な、なるほど。逆に兄が妹より先に亡くなった場合は?」
「その場合、兄の遺産は、養子である妹に相続されることとなります。」
「それでは、兄が結婚したが、兄と兄の妻との間には子供が生まれないまま、
兄が亡くなった場合の相続はどうなりますか?」
「その場合、兄の遺産の法定相続分は
妻が2分の1
養子である妹が2分の1
となります。」

「んー、なるほど。兄弟姉妹間での養子縁組では
相続関係がちょっと難しくなるみたいですね。」


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