養子離縁の条件

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■普通養子縁組における養子離縁の条件について
「普通養子縁組における養子離縁の条件って何かあるんですか?」
「協議離縁の場合は条件はありません。
養子と養親が離縁について話し合いでお互いが合意したのならば、
養子離縁届を届出るだけで養子離縁はできます。」
「なるほど。では協議離縁を行う上での、養子の年齢の条件はどうなりますか?」
「協議離縁は話し合いで決める離縁。
ですので、養子がとても小さいときには話し合いは無理です。
そこで協議離縁が養子自身でできる年齢の条件としては15歳以上となります。
逆に養子が15歳未満であれば、
離縁のあとにその養子の親権者等の法定代理人となる者が
話し合いで養子離縁を協議することとなります。」


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「なるほど。では協議離縁の場合の養親の条件はどうなりますか?」
「協議離縁が可能な養親の条件は
養親が夫婦であるかどうかと、養子の年齢で変わってきます。」
「夫婦であるかどうかと、養子の年齢ですか?」
「はい。協議離縁の養子離縁の条件として、
養親が夫婦の場合で、養子が未成年の場合は、
養親である夫婦がそろって養子離縁をしなければならないという条件になっています。
どちらか一方の養親のみが協議離縁はできないと規定されています。」
「養子が未成年の場合は養親夫婦がそろって、ですか。
例外はないんですか?」
「あります。例えば病気や事故等で、養親の一方が離縁の表示意思を持てなかった場合等は
この限りではありません」
「わかりました。では養子が成人であったならば養子離縁の条件はどうなりますか?」
「養子が成人であった場合の養親としては、
養子が未成年のときの条件とは異なり、
例えば養父は養子離縁するが、養母は養子離縁しない
ということも可能です。」

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「なるほど。協議による養子離縁の条件についてはわかりました。
では普通養子縁組における裁判上の離縁の条件について教えてください。」
「まず、裁判上の養子離縁では、いきなり訴えを起こすことは原則できず、
調停を申し立てる必要があります。
訴えを起こす場合は、この調停が流れたあとでなければならないという条件になっています。
調停前置主義といいます。」
「では、養子離縁について訴えを起こす場合の条件はどうなっていましたか?」
「養子離縁の訴えの条件は次の通りです。」

第814条(裁判上の離縁)
縁組の当事者の一方は、次に掲げる場合に限り、離縁の訴えを提起することができる。
一 他の一方から悪意て遺棄されたとき。
二 他の一方の生死が3年以上明らかでないとき。
三 その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき。
※離縁の調停は上記のような理由がなくとも申し立てることができる。

「生死が3年以上明らかでないときというのはわかりますけど、
悪意で遺棄された、とはなんですか?」
「例えば養親が幼い養子について育児放棄をした等のネグレクトがこれにあたります。」
「なるほど。ではその他縁組を継続し難い重大な自由とは
例えばどんなものがありますか?」
「ほんの一例ですけど、暴力、度を超えた侮辱、養親の財産を減少させたなどが挙げられます。
各家庭の事情は千差万別なので、それらに弾力的に対応するために
法律はその他の事由としているのでしょう。」
「なるほどなるほど。
養子離縁の条件については大体わかりました。」


■特別養子縁組における養子離縁の条件について
「特別養子縁組における養子離縁の条件を教えてください。」
「基本的に特別養子縁組は離縁できません。
子供の立場が不安定になるからです。」
「なるほど。」
「でも、民法には子供の利益のために必要だという場合に限って、離縁を認めています。」

第817条の10 (特別養子縁組の離縁)
次の各号のいずれにも該当する場合において、養子の利益のため特に必要があると認めるときは、
家庭裁判所は、養子、実父母又は検察官の請求により、特別養子縁組の当事者を離縁させることができる。
一 養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があること。
二 実父母が相当の監護をすることができること。

「虐待や悪意の遺棄…。たしかに全く養子離縁を認めないとなると
養子にとっては地獄でしかありませんね。」
「そうですね。だから特別養子縁組の場合、
基本的には養子離縁は認められないが、特定の条件を満たした場合は
認められるということですね」


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